在宅医療における認知症について14~レビー小体型認知症とは?
- 賢一 内田
- 8月9日
- 読了時間: 3分

レビー小体型認知症(DLB)は、アルツハイマー病に次いで多い認知症の一つです。脳の神経細胞内に「レビー小体」という異常なたんぱく質の塊(主成分:αシヌクレイン)がたまることで、認知機能や運動機能に影響を及ぼします。
レビー小体は、パーキンソン病では主に脳幹に、レビー小体型認知症では大脳皮質に多く見られますが、病理学的には同じグループ「レビー小体病」に分類されます。
主な症状の特徴
DLBには次の必須症状と中核症状があります。
必須症状
進行性の認知機能低下アルツハイマー病のように「記憶障害」が初期から必ず出るわけではありません。代わりに、注意力・計画力・視空間認知の低下が初期から目立ちます。例:物の位置や向きが分からない、二重五角形の模写がうまくできない(下図参照)。

中核症状(4つのうち2つ以上で診断に近づく)
認知機能の変動(81%)日によって、あるいは1日の中でも「しっかりしている時」と「ぼんやりしている時」が大きく変わる。例:朝は会話できるのに夕方は話が通じない。
具体的な幻視(70%)実在しない人や動物、物がはっきり見える。例:「布団の脇に子どもが座っている」「蛇が壁をはっている」。
レム睡眠行動障害(76%)夢の内容に合わせて大声を出す、手足を動かす、隣の人を叩くなど。本人は覚えていないことが多い。
パーキンソン症状(77%)動作が遅い、筋肉が固くなる、姿勢を保ちにくい。左右対称に出ることが多い。
アルツハイマー病との違い(簡易表)
症状・特徴 | レビー小体型認知症 | アルツハイマー病 |
記憶障害 | 初期には目立たないことも | 必ず出る |
認知機能変動 | よくある | ほぼない |
幻視 | 多い | まれ |
レム睡眠行動障害 | 多い | まれ |
パーキンソン症状 | 初期から出ることあり | 初期には出ない |
抗精神病薬への副作用 | 高頻度(54%) | ほぼない |
注意すべき薬の副作用
DLBの方は抗精神病薬に強い副作用(症状の急激な悪化、パーキンソン症状の増強)が出やすいため、原則として使用を避けます。抗コリン薬にも弱く、混乱やせん妄を起こすことがあります。
病気の進行と予後
平均すると1年にMMSEスコアが3.4点低下(アルツハイマー病と同程度)
発症から死亡までの中央値は約8年
ただし一部では発症後1〜2年で急速に悪化するケースも
まとめ
レビー小体型認知症は、記憶障害が軽くても注意力や視空間認知の低下が早くから出るのが特徴です。幻視や認知機能の波、パーキンソン症状、レム睡眠行動障害が見られたら、早めに専門医の診断を受けることが大切です。薬の副作用にも特に注意しましょう。
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認知症の種類
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認知機能変動
レム睡眠行動障害
パーキンソン症状
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