ヒートショック現象

昔ながらの日本家屋は非常に寒い。木造家屋が多いためお風呂やトイレなど肌が露出する場所での気温が非常に低い場合が多い。元野球監督であり評論家である野村克也さんがお風呂場で亡くなっているのが見つかったなども記憶に新しいところです。推定でヒートショックで亡くなる患者さんは年間1万9千人と推定されており、交通事故の死亡者より多いのです。

こうしたことが徐々に広まると、在宅医療で入浴に関わる方も患者さんの入浴基準に対する問い合わせがよくあります。私の基準として収縮期血圧が180以上の時、90以下の時、体温が38℃以上の時は入浴を中止としています。

少し学術的に考察すると東京都市大学人間科学部 早坂信哉教授らは、訪問入浴事業所として登録される全2,330か所の事業所に対して訪問入浴に関連する事故・体調不良の発生を調査し、596例の入浴事故を解析し、以下の調査結果を発表しました。

・入浴前の収縮期血圧が160mmHg以上であることは入浴事故の発生と3.63倍の関連があった。

・入浴前の拡張期血圧が100mmHg以上であることは入浴事故の発生と14.71倍の関連があった。

・入浴前に体温37.5℃以上であることは入浴事故の発生と16.47倍の関連があった。

つまり、絶対に入浴による事故を起こしたくなければ、血圧が160/100以上、体温が37.5℃以上であれば、入浴を中止すれば良いということになります。この報告の値を基準としてしまうと、入浴できない方が多くでてきてしまいそうですが、ケースバイケースで判断していくべきだと思います。但し終末期の患者さんなどでは、「病院では入浴できなかったけど家で入浴できて良かった」「最期はきれいになりたい」といった話を聞きますので、一概に数値のみで判断しないことが必要と考えています。

写真は逗子在住山内明徳様撮影