【高齢者の失神を防ぐには?】転倒と筋力・血圧の関係を知る
- 賢一 内田
- 6月21日
- 読了時間: 3分
高齢者の約3割が、1年間に1度は「転倒」を経験するといわれています。その中でも、約30%が「失神」が原因とされているのをご存じでしょうか?
今回は、なぜ高齢者は失神しやすいのか、そしてどうすれば防げるのかを、医療現場からの視点で解説します。
✅ なぜ高齢者は失神しやすいのか?
年齢を重ねると、自然な老化現象に加え、高血圧・糖尿病・心疾患など複数の慢性疾患を抱えている方も多くなります。
本来、私たちの体は「恒常性(ホメオスタシス)」という機能で、血圧や体温などを一定に保つ仕組みがありますが、加齢に伴いこのバランス調整が難しくなります。
結果として、
血圧が急に下がる
脳への血流が一時的に減るといった状態が起こりやすくなり、失神に繋がってしまうのです。
🦵筋力低下も失神の一因?
高齢になると筋肉量が減少します。特に、足や股関節まわりの筋肉(下肢筋群)が顕著に低下しやすいのが特徴です。
この下肢の筋肉は、**静脈血を心臓に押し戻す“筋ポンプ作用”**を担っています。筋力が低下すると、血液が足にたまりやすくなり、脳への血流が不足 → 立ちくらみや失神を起こしやすくなるのです。
💡下肢筋力を保つだけでリスクは激減!
厚生労働省の調査によると、わずか1週間の安静でも筋力は約20%低下し、2週間で40%に達するというデータがあります。
だからこそ、日常的に足腰を動かす習慣はとても大切です。
「歩けなくても座れるなら、座って過ごす時間を作るだけでも違います。」
例えば――
椅子に座った状態でかかとを上下に動かす
足首をゆっくり回す
短時間でも立つ・歩く習慣を作る
といったことから始めてみましょう。
これらは転倒や骨折のリスクを下げ、生活の質(QOL)を維持するためにも有効です。
🍽 高齢者は「食後」にも失神しやすい?
「食後に立ち上がろうとしたら、急にクラッときた…」こんな経験、ありませんか?
高齢者の方の1/3は食後低血圧を起こすとも言われています。
これは、食事によって胃腸へ血液が集まり、血管が拡張し心拍数が低下する「迷走神経反射」によるもので、自律神経の調整力が弱っている高齢者では、回復しにくく失神へとつながりやすいのです。
☕ 食後失神の予防法
以下のような工夫で予防できます:
食後すぐに立ち上がらず、少し休む
カフェインを含む緑茶・コーヒーを摂取(交感神経を刺激して血圧を上げる)
運動・睡眠・生活リズムの見直し(自律神経の働きを整える)
🌱「できること」を積み重ねて、今を守る
高齢になると、今まで当たり前だったことが少しずつ難しくなります。でも、それは“できなくなったこと”ではなく、“今の自分に合ったペースで、できることを選んでいく”という生活の知恵。
無理せず、しかし積極的に、「今できる対策」が未来の自分を守ってくれるかもしれません。
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