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【在宅医療における入浴基準】数値だけで判断しない「その人らしいケア」を

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 5月20日
  • 読了時間: 2分

在宅医療の現場では、**「今日は入浴しても大丈夫ですか?」**という質問をよくいただきます。ケアマネージャーさんや訪問入浴事業所のスタッフさんから、入浴の可否を判断する基準について相談されることが多くあります。


当院での基本的な入浴中止基準

当院では、居宅療養管理指導書に以下のような基準を記載しています:

  • 収縮期血圧が180mmHg以上 または 90mmHg以下

  • 体温が38.0℃以上

これらの数値に該当する場合は、入浴を控えるようお願いしています。

エビデンスに基づいた入浴リスクの検討

訪問入浴におけるリスクについて、東京都市大学の早坂信哉教授らの調査研究があります。

全国の訪問入浴事業所2,330か所を対象に事故を調査し、596例の入浴事故を解析したところ、次のような結果が報告されました:

  • 収縮期血圧160mmHg以上:入浴事故リスクが3.63倍

  • 拡張期血圧100mmHg以上:リスク14.71倍

  • 体温37.5℃以上:リスク16.47倍

「安全」を最優先にしすぎると、生活の質を損なうことも

これらの数値を絶対基準にしてしまうと、多くの方が入浴できなくなってしまいます。しかし入浴は、衛生面だけでなく、気持ちのリフレッシュにもつながる重要なケアです。

特に終末期の患者さんからは、

「病院では入浴できなかったけど、自宅で入れたことが嬉しい」「最期はきれいな体でいたい」

といったお声をいただくこともあります。

だからこそ、数値だけにとらわれず、その方の体調やご希望をふまえて柔軟に判断することが大切だと考えています。

現場で迷ったときは、医師に相談を

当院では、入浴の判断に迷った際には医師の携帯に直接連絡するよう指示しています。医療者同士の連携を密にしながら、その人らしいケアの実現をサポートしていきたいと考えています。

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