【在宅でできる褥瘡ケア】開放性ウエットドレッシング療法という選択
- 賢一 内田
- 5月1日
- 読了時間: 2分

病院勤務時代、術後の創傷治癒が遅れそうな患者さんに対しては「カラヤヘシブ」という高機能な被覆材を使用していました。とても有用な材料ですが、価格が高く、一般的な薬局では手に入らないため、在宅での褥瘡治療に使うことは難しいのが現実です。
一方、在宅では「サランラップ」を使って湿潤環境を保つ簡易療法が行われることもあります。しかしこの方法では、浸出液によるムレが欠点となります。
そこで、より進化した方法としておすすめしたいのが**「開放性ウエットドレッシング療法」**です。
この療法のポイントは?
適度な湿潤環境を保ちつつ、浸出液を吸収
安価で、在宅でも無理なく実践できる
皮膚にかかるずり応力を軽減できる
実際の処置方法
使うものはとてもシンプルです:
穴あきポリ袋(キッチン用の水切り袋など)
平おむつ(またはペットシーツ)
水道水(ぬるま湯)
霧吹き
ティッシュペーパー
ナイロンストッキング(下肢用)
処置の手順
事前準備 褥瘡部が濡れても大丈夫なように、おむつまたはペットシーツを敷いておきます。
洗浄 霧吹きでぬるま湯(水道水)をスプレーし、優しく洗浄します。 褥瘡は「細胞を育てる畑」のようなもの。こすったり、強く洗うのはNGです。
水気の除去 褥瘡の周囲の皮膚だけティッシュなどで軽く拭き取ります。 創部内の水分はそのままでOKです。
褥瘡パッドの貼付 用意した褥瘡パッド(穴あきポリ袋+おむつ)を貼ります。 この時、創よりずっと大きいサイズを使うのがポイントです。
- 創部にずれても当たる - 圧を分散できる
テープでの固定は避け、おむつで包み込むように固定します。 (ずれによる摩擦も軽減されます)
補足:下肢の褥瘡ケアに便利なアイテム
ナイロンストッキング: これを履くことでパッドが固定され、摩擦も分散されます。
ワセリンやフィルム: 皮膚に直接塗布・貼付してずり応力を防止。予防的なケアに有効です。
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