「熱が出たら連絡ください」と言われたら?本当に38℃で判断していいのか?
- 賢一 内田
- 6月29日
- 読了時間: 2分

施設スタッフの方からよくこんな質問をいただきます。
「何℃以上の熱が出たら先生に連絡すればいいですか?」
多くの医師が「38℃以上なら連絡してください」と伝えると思いますが、実は「発熱だけ」で重症かどうかを判断することはありません。
医師が重症度を見極める際には、体温だけでなく、脈拍や呼吸数といった“他のバイタルサイン”を必ず確認しています。
熱があるとき、どこに注目すべきか?
もし入居者さんに38℃以上の発熱があった場合、ぜひ 脈拍と呼吸数 にも注目してください。
脈拍:90回/分以上
呼吸数:20回/分以上
この2つのどちらかでも当てはまれば、「重症の可能性あり」と判断し、すぐに医師へ連絡すべきです。
根拠は「SIRS基準」
これはかつて敗血症の診断に用いられていた「SIRS(全身性炎症反応症候群)」の基準に基づいています。
SIRSの4つの指標:
体温 > 38℃ または < 36℃
心拍数 > 90/分
呼吸数 > 20/分 または PaCO₂ < 32 torr
白血球数 > 12,000 または < 4,000、もしくは未熟型 > 10%
このうち2項目以上当てはまれば「全身性の炎症反応あり」とされ、敗血症や重症感染症を疑う材料になります。
現在は「qSOFA」など別の基準が重視される場面もありますが、現場での初期判断としてはSIRSは今でも有効なスクリーニングツールです。
現場での伝え方
したがって、最も実用的な伝え方はこうです:
「体温が38℃以上で、なおかつ脈拍が90回以上、または呼吸数が20回以上であればご連絡ください」
このように伝えることで、医師にとっても適切なタイミングで情報が入り、患者さんへの迅速な対応につながります。
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