top of page
逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

神奈川県逗子市桜山2-2-54
TEL 046-874-9475
FAX 050-3145-2736
平日9時~17時
検索


在宅酸素療法を科学する42~禁煙できない患者への働きかけ
1 成人の喫煙率とその実態 日本の平成26年度成人喫煙率は男性32.2%,女性8.5%(厚生労働省国民健康栄養調査)。健康日本21(第2次)では成人喫煙率12%以下を目標としているが,喫煙は疾患の予防・治療において最優先課題である。 喫煙習慣の本質は「ニコチン依存症」と言われる積極的治療を必要とする精神疾患である。やめにくさは麻薬に匹敵し,再発しやすい。カウンセリングを用いることでより効果的な支援が可能となる。 2 タバコをやめにくいのはニコチン依存症が理由 ニコチンは中脳腹側被蓋野から大脳辺縁系側坐核に至る脳内報酬系に作用する。喫煙後わずか7秒でα₄β₂ニコチン作動性アセチルコリン受容体に結合し,ドパミンを過剰分泌する。これにより快楽・落ち着き・集中力向上感が生じるが,30分ほどでニコチン切れとなり離脱症状が出現する。 1日20本喫煙する患者はこのサイクルを毎日20回繰り返している。「タバコはやめたいけどやめられない」という両価性の背景にはこの依存機序がある。ストレスの原因が喫煙そのものであることに気づくことが重要となる。 3 禁煙治療:保険算
22 時間前読了時間: 4分


在宅酸素療法を科学する41~火気取扱いの注意特にタバコの危険性
1 在宅酸素療法中の火災 酸素は他の燃焼を助ける性質(支燃性)があり、酸素濃度が高いと自身は燃えなくても燃えるものを激しく燃焼させる。消えかけたタバコも酸素があると火を噴き、空気中では燃えにくいカニューレも酸素が通っていると導火線のように激しく火を噴いて燃え広がる。 日本呼吸器学会「在宅呼吸ケア白書2010」のアンケートでは、HOT患者のうち3%が喫煙しており、家庭内に喫煙者がいる割合は17%であった。社会的損失は年間約1億円弱と推計される。 2 火災例の紹介 ● 消防による在宅酸素中の火災例の特徴 区分 内容 特徴(5項目) 自由に歩けないベッド上の生活 出火責任者が初期消火できない 熱傷率がほぼ100%(顔面) 布団や畳に「焼け焦げ」があることが多い 禁煙を指導されていたが守られていない 関係者からの 聴き取り 本人:ライターをつけると急に炎が大きくなり、顔のあたりが燃え始めた。あわてて顔を手ではたいた ヘルパー:寝たきりの状態だが、以前にもタバコで髭を焦がしたことがある 家族:カニューレを鼻にしながらタバコを吸っていたので危ないと何回も注意
2 日前読了時間: 4分


在宅酸素療法を科学する40~
在宅酸素療法(HOT)が保険適用となった1985年以降、慢性呼吸不全患者は長期入院から在宅療養・社会復帰が可能となった。2016年時点で約16万人の患者がHOTで自宅療養を続けている。本章では、HOTの保険適用の経緯、酸素機器の進歩、訪問看護制度・呼吸リハビリテーションとの歩みを、症例を通じて振り返る。 在宅酸素療法の保険適用以前 HOTが保険適用となる以前、慢性呼吸不全患者が感染症や心不全などの急性増悪で入院し、低酸素血症がある場合、酸素療法が行われ安静が指示されていた。軽快退院したものの、自宅ではほぼ寝たきりに近い状態であったり、数カ月経過すると心不全や呼吸不全で再入院するなど入退院を繰り返したり、長期入院を余儀なくされる方もいた。 在宅酸素機器の進歩 訪問看護・呼吸リハビリテーションの歴史 ① HOT患者の居宅での問題点(1993〜1995年・刀根山病院と帝人の共同研究) 訪問看護による効果 看護師による月1回程度の定期訪問により、以下の効果が確認された。 ② 訪問看護制度の整備 1992年の老人保健法改正で老人訪問看護ステーションが、19
3 日前読了時間: 3分


在宅酸素療法を科学する39~排痰補助器具アカペラ®(V・PEP療法)による気道清浄化の実践ガイド
排痰を促す器具としては、呼気陽圧を用いる器具、振動を用いる器具、陽圧と陰圧の差により呼気流速を高める器具など様々な器具が開発されている。本記事では、嚢胞性肺線維症や慢性気管支炎などで気道分泌物の多い症例で、患者が自己管理によって気道の清浄化に役立てられるポーテックス・アカペラ®(V・PEP療法)を中心に解説する。 振動・呼気陽圧療法(V・PEP療法)とは アカペラ®は、非薬理学的な気道清浄化療法のひとつとして、呼気陽圧療法(PEP:positive expiratory pressure)に振動法(vibration)を組み合わせた振動・呼気陽圧療法(V・PEP療法)に用いる器具である。 気道陽圧法の適応(米国呼吸法学会ガイドライン) アカペラ®の構造と仕様 アカペラ®には、呼気流量によって2種類が用意されている。 作動原理 アカペラ®の開閉するシーソー弁付きの器具に呼気を吹き込むことで、分泌物で閉塞した気管支部分に陽圧と振動を与え、分泌物の移動を促進する(呼気陽圧+振動により気道内分泌物の移動を促す)。 アカペラ®の操作手順 自己管理能力を高め
4 日前読了時間: 2分


在宅酸素療法を科学する38~内服薬去痰薬・少量マクロライド療法|慢性呼吸不全・COPDの薬物管理
長期酸素療法を必要とする患者の多くはCOPDを基礎疾患としている。COPDにおいて喀痰が多い症例では進行が早いことが報告されており、排痰コントロールが重要である。また少量マクロライド療法は抗菌活性以外の作用(気道粘膜の過剰分泌の抑制・サイトカインの分泌抑制・免疫細胞への作用)も注目されている。 去痰薬の分類と特徴 去痰薬はその作用機序から大きく5つに分類される。去痰薬は痰の性状や量、患者の状態などを考慮して適切に選択する必要がある。特に喀痰溶解薬は喀出困難を生じる可能性もあり注意が必要である。粘液溶解薬と粘液修復薬は併用することで効果が増強することが広く知られており、喀痰コントロール不十分な症例では併用を考慮する。 分類 代表的な薬物 特徴 喀痰調整薬 カルボシステイン 喀痰構成成分を正常化させる 気道潤滑薬 アムブロキソール 肺サーファクタント分泌促進、繊毛運動亢進作用による痰の喀出を促進する 気道分泌細胞正常化薬 フドステイン 杯細胞過形成を抑制し、気道過分泌を改善する 気道分泌促進薬 ブロムヘキシン 気管分泌を促進することにより喀痰の喀出を
5 日前読了時間: 2分


在宅酸素療法を科学する36~感染予防策 長期酸素療法患者の生活指導とワクチン接種の重要性
長期酸素療法での感染予防は、① 生活における注意と② 積極的な予防としてのワクチン接種の2本柱からなる。安定していても、長期酸素療法を実施するような患者の肺炎は急な転帰を辿ったり、負のスパイラルに陥ったりすることが予測されるため、早めに予防接種を実施することが重要である。 セルフマネジメントと生活指導 2003年のBourbeauらによる研究以降、ケースマネージャー(看護師)による患者教育が救急外来受診と入院の減少およびQOLの改善効果を示した。COPDに対するセルフマネジメントのメタアナリシスでは、QOL・全原因および呼吸器に関連した入院・息切れ(mMRC)の改善効果が得られている。 感染対策のセルフマネジメントとしては、感染や増悪の徴候を早くとらえて、あらかじめ処方されている薬剤(抗菌薬とプレドニゾロン)を迅速に服用することが中心。そのため、以下のセルフモニタリング教育が重要である。 重要な感染予防項目(生活指導) インフルエンザワクチンの重要性 インフルエンザウイルスは、特に気道上皮細胞の障害が強く生じることから、細菌性肺炎が引き起こされる
7 日前読了時間: 2分


在宅酸素療法を科学する35~栄養療法慢性呼吸不全・COPDにおける栄養障害の評価と実践的栄養管理
慢性呼吸不全においては、栄養障害の合併が病態や予後に悪影響を及ぼすとされている。COPDは全身性疾患であり、栄養障害には全身性炎症・換気メカニクスの障害・摂食調節因子の異常など多くの要因が複合的に関与している。本記事では栄養障害の特徴から評価・実践的な栄養療法まで体系的に解説する。 栄養障害の特徴と問題点 ① タンパクエネルギー低栄養状態(PEM) 慢性呼吸不全患者の栄養障害の特徴はタンパクエネルギー低栄養状態(PEM)である。しばしば体重減少が認められ、以下の変化を呈する。 ② 代謝亢進状態 気流制限や肺過膨張により呼吸筋のエネルギー消費量が増えるため、COPD患者では安静時エネルギー消費量(REE)が同年代の健常者の1.2〜1.4倍に増大しており、体重減少患者では体重正常患者よりも有意な増大が認められている。また全身性炎症に伴うTNF-αなどの炎症性サイトカインが体重減少のあるCOPD患者で増加しているとされる。 ③ 摂取エネルギー量の低下 COPD患者が身体活動を維持するために必要なエネルギーを食事で摂取することが困難な場合が多い。その理由
6月9日読了時間: 3分


在宅酸素療法を科学する34~呼吸リハビリテーション
運動療法は、呼吸器疾患を有する患者の治療手段として、薬物療法・酸素療法・栄養療法などと並び、その重要性が示されている。運動療法を実施することにより呼吸困難の改善、ADLの向上、QOLの改善につなげることができる。薬物療法や酸素療法を既に実施してある程度症状が改善している患者においても、さらに症状を改善させる効果が期待できる。 運動療法の目的と意義 運動療法の3分類 運動療法の処方:FITT原則 運動療法を処方する際には患者個人に合った適切なプランを立案する。患者の運動機能を評価し、以下のFITTに沿って適切な運動内容を立案・実施する。 患者疾患・身体機能に合わせた運動療法 重症度 コンディショニング トレーニング内容 負荷量 軽症 応用 全身持久力・筋力(レジスタンス)・ADLトレーニング 高負荷 中等症 基礎〜応用 全身持久力・筋力・ADLトレーニング 中負荷 重症 基礎 コンディショニング中心・低負荷での筋力・持久力 低負荷 呼吸器関連疾患における各介入の推奨レベル 症状 コンディショニング 全身持久力 トレーニング 筋力(レジスタンス) ト
6月8日読了時間: 5分


在宅酸素療法を科学する33~エンド・オブ・ライフケア悪性腫瘍患者の呼吸困難と酸素療法のエビデンス
悪性腫瘍が進行してくると終末期の病態として呼吸不全がしばしば合併し、直接の死因になることが多い。肺癌は特にそうだが、他の部位の癌でも多発肺転移や縦隔転移が関与する呼吸不全が終末期に合併する。この場合、数カ月の経過で死亡まで進行する中で酸素療法が必要となってくる。本章ではエンド・オブ・ライフケアにおける酸素療法の意義と実践的対応を解説する。 悪性腫瘍患者への酸素療法導入の実態 原因 病態 悪性腫瘍に伴う変化 治療関連原因 上気道狭窄 呼吸仕事量増加 口腔内・咽頭・喉頭の悪性腫瘍の増大 — 閉塞性換気障害 下気道の狭窄 気管および中枢側気管支の腫瘍、縦隔腫瘍、縦隔リンパ節腫大 — 拘束性換気障害 肺容量の減少 肺内腫瘍の増大、腫瘍による無気肺 肺切除術後、特に片肺全摘など 胸郭・胸膜のコンプライアンスの低下 悪性胸膜中皮腫、胸膜腫瘍、胸水貯留、胸膜浸潤 胸膜癒着術後 横隔神経麻痺 横隔神経への腫瘍の浸潤 — 腹部膨満による肺活量の減少 癌性腹水貯留、巨大な肝腫瘍や腹部腫瘍、肝不全による腹水 — 肺コンプライアンスの低下 吸気時の呼吸仕事量の増加 癌性
6月7日読了時間: 3分


在宅酸素療法を科学する32~肺内シャント疾患肝肺症候群(HPS)を中心に:診断・治療・長期酸素療法
肺内シャントは重症慢性呼吸不全の原因のひとつとして重要である。坐位で呼吸困難・低酸素血症が増悪し臥位で改善するという特徴的な症状(platypnea-orthodeoxia症候群)を示す。この中でも、肝硬変などに伴う肝肺症候群(HPS)は特徴的な病態を呈し、酸素療法が低酸素血症に対する有効な治療法として確立されている。 肝肺症候群(HPS)の概要と症状 HPSは以下の3徴を持ち、あらゆる年代の肝疾患患者が罹患しうる。1977年に初めて報告された。 特徴的な症状 シャントの機序 低酸素血症の機序は、肺内血管の拡張による右左シャントの増大である。肺内血管拡張は2つの形が混在する。 病態生理の要点 肝硬変患者の30%では低酸素性肺血管収縮が抑制・消失 → 肺血流がさらに増大 病期が進行して拡散障害が生じると、心拍出量が増大するほど赤血球の通過時間が短くなり酸素化が悪化 下側肺肺胞の肺血管トーンが変化に乏しいため換気に応じた重力性の血流変化が起こりにくい → orthodeoxiaの原因 肺血管拡張に関係するメディエーター 診断基準と検査 HPS重症度分
6月6日読了時間: 2分


在宅酸素療法を科学する31~肺内シャント疾患肝肺症候群(HPS)を中心に:診断・治療・長期酸素療法
肺内シャントは重症慢性呼吸不全の原因のひとつとして重要である。坐位で呼吸困難・低酸素血症が増悪し臥位で改善するという特徴的な症状(platypnea-orthodeoxia症候群)を示す。この中でも、肝硬変などに伴う肝肺症候群(HPS)は特徴的な病態を呈し、酸素療法が低酸素血症に対する有効な治療法として確立されている。 肝肺症候群(HPS)の概要と症状 HPSは以下の3徴を持ち、あらゆる年代の肝疾患患者が罹患しうる。1977年に初めて報告された。 特徴的な症状 シャントの機序 低酸素血症の機序は、肺内血管の拡張による右左シャントの増大である。肺内血管拡張は2つの形が混在する。 病態生理の要点 肝硬変患者の30%では低酸素性肺血管収縮が抑制・消失 → 肺血流がさらに増大 病期が進行して拡散障害が生じると、心拍出量が増大するほど赤血球の通過時間が短くなり酸素化が悪化 下側肺肺胞の肺血管トーンが変化に乏しいため換気に応じた重力性の血流変化が起こりにくい → orthodeoxiaの原因 肺血管拡張に関係するメディエーター 診断基準と検査 HPS重症度分
6月5日読了時間: 2分


在宅酸素療法を科学する30~
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)が合併することが知られている。この2つの疾患がオーバーラップするメカニズムとその予後について解説する。COPDにOSASを合併すると死亡リスクが7倍になるとの報告もあり、適切な治療介入が極めて重要である。 1睡眠と呼吸の関係 呼吸調節は、化学受容器や肺の受容器からの情報が中枢調節器に入力され、呼吸筋へ指令が送られて換気が実行されるフィードバック機構で成り立っている。 睡眠が呼吸に与える悪影響 睡眠はこれらの反応を全般的に低下させる。以下の複合的メカニズムにより換気量が低下し、低酸素血症・高二酸化炭素血症を引き起こす。 中枢・神経系への影響 中枢への入力の低下 化学受容体の感受性低下 呼吸筋の運動神経低下 気道・肺メカニクスへの影響 呼吸筋の収縮力低下 上気道抵抗の上昇 機能的残気量の低下 換気血流比の不均衡 これらの変化はnon-REM睡眠よりも、抗重力筋が完全に弛緩するREM睡眠期でさらに強くなる。健常者では生理的変動の範囲内だが、心肺機能に異常がある場合には正常範囲を逸脱する。
6月4日読了時間: 3分


在宅酸素療法を科学する29~CPFEcombined pulmonary fibrosis and emphysema気腫合併肺線維症
2005年、フランスのCottinらが胸部CTで上葉の気腫性病変と下葉の線維化病変を認める61例を後ろ向きに検討し、CPFE(combined pulmonary fibrosis and emphysema)という新たな疾患概念を提唱した。CPFEは通常の慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎とは異なる臨床的特徴を持ち、わが国では気腫合併間質性肺炎と呼ばれることが多い。 1 CPFEの特徴 Cottinらが報告したCPFEの主な特徴を以下にまとめる。 ① 喫煙歴のある男性に多く、平均年齢65歳 61例中、全例で喫煙歴を認める。男性60例、女性1例であり、男性が多く平均年齢は65歳である。ほぼ全例に息切れを認め、87%で肺底部にcracklesを、43%にばち指を認める。 ② 高分解能CTで上葉優位の気腫性病変、下葉優位の線維化病変 高分解能CT(HRCT)では、上葉に小葉中心性または傍隔壁性の肺気腫を認める。また下葉には蜂巣肺、網状影、牽引性気管支拡張、すりガラス陰影、構造改変などの線維化病変を認める。画像パターンはUIPパターン51%、fi
6月3日読了時間: 3分


在宅酸素療法を科学する28~睡眠呼吸障害/睡眠時無呼吸症候群
睡眠呼吸障害SDB睡眠時無呼吸症候群SASOSASCSASAHIPSGCPAP口腔内装置OA簡易モニターESS酸素療法減量療法側臥位睡眠Cheyne-Stokes呼吸LVEFメタアナリシス長期酸素療法 呼吸障害と睡眠時無呼吸症候群 睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing:SDB)は自覚症状の有無にかかわらず、睡眠時無呼吸低呼吸指数(apnea-hypopnea index:AHI)が5以上であることを指す。睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)はAHI 5以上のSDBに日中の眠気、中途覚醒、倦怠感などの自覚症状を伴う病態を指す。 米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine:AASM)はSDBを以下の4つに分類している(ICSD-2)。 睡眠関連呼吸障害の診断 SASを診断するためのゴールドスタンダードは終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomnography:PSG)である。SDB関連症状(日中過眠・睡眠中の窒息感やあえぎ・繰り返す覚醒・起床時の爽
5月4日読了時間: 6分


在宅酸素療法を科学する27~肺結核後遺症と在宅酸素療法(HOT)
肺結核後遺症と在宅酸素療法(HOT)——「昔の結核治療」が今も呼吸不全を引き起こしている 「若い頃に結核にかかった」「胸郭形成術を受けた」——そのような方が高齢になり、呼吸不全・在宅酸素療法が必要になるケースがあります。COPDとは異なる特徴を持つ肺結核後遺症の在宅ケアについて解説します。 # 在宅医療# さくら在宅クリニック# 逗子市# 肺結核後遺症# 結核後遺症# 在宅酸素療法# HOT# NPPV# 呼吸リハビリ# 呼吸不全 肺結核後遺症とは、肺結核に対する治療後に種々の合併症を生じた状態です。広範な肺病変や肺切除による肺実質・肺血管床の減少、気道感染、気管・気管支の変形、胸郭変形、胸膜癒着・線維化などにより呼吸障害が生じます。高齢化に伴い、こうした後遺症を抱えながら在宅で生活される方の支援が重要になっています。 肺結核後遺症——外科治療群と内科治療群 肺結核後遺症は、かつてどのような治療を受けたかによって、外科治療群と内科治療群に分けられます。 肺結核後遺症の呼吸不全——COPDとの違い 肺結核後遺症における呼吸不全は、COPDと比べてい
5月3日読了時間: 3分


在宅酸素療法を科学する26~肺高血圧症
肺高血圧症PAHPHmean PAPPAWP酸素療法LTOTCOPD合併PHPvO₂PaO₂組織酸素化ニース分類肺血管リモデリング右心不全ESC/ERAガイドライン日本循環器学会特発性肺動脈性肺高血圧症IPAHCTEPH生存曲線 肺高血圧症の定義 2008年に米国のダナポイントで開催された第4回肺高血圧症ワールドシンポジウムにて、右心カテーテル検査を用いて実測した安静時肺動脈平均圧(mean pulmonary arterial pressure:mean PAP)25 mmHg以上が肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)と定義された。 肺高血圧症の分類(ニース分類,2013) PHの分類は、1998年フランスのエビアンで開催されたワールドシンポジウムで5つの群に分類整理され、その後改訂を重ねた結果、現在では2013年のニース分類が用いられている。ニース分類の2群は左心疾患に伴うPHであり、主に肺静脈性肺高血圧症(pulmonary venous hypertension:PVH)である。本項では主に、PAHに対する酸素
5月2日読了時間: 2分


在宅酸素療法を科学する25~慢性心不全
慢性心不全在宅酸素療法HOTLTOTCPAPASV睡眠呼吸障害SDBチェーン・ストークス呼吸CSR中枢性睡眠時無呼吸CSA閉塞性睡眠時無呼吸OSANYHA分類AHIRAA系神経内分泌因子低酸素血症QOL 慢性心不全とは、慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し、末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血流量を絶対的にまた相対的に拍出できない状態、と定義される。 従来は、急性心不全と同様に血行動態的指標やうっ血の有無により管理が行われていたが、慢性心不全では交感神経系やレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系に代表される神経内分泌因子が著しく亢進し、その病態に大きく関与していることが判明し、1つの症候群ととらえられるようになった(図1)。その治療においては、一般管理(社会活動や食事、安静や運動など)および薬物療法と併せて、特に重症例では酸素療法を中心とした呼吸管理が重要となってくる。 ● 慢性心不全の神経内分泌因子機序 睡眠中に発生する呼吸障害にはCSA、OSA、あるいはCSAのうち10分以上持続する漸増漸減の呼吸パターンを伴ったものを、チ
5月1日読了時間: 3分


在宅酸素療法を科学する25~
肺癌在宅酸素療法HOT呼吸困難低酸素血症緩和ケアオピオイドQOL担癌患者PaO₂SpO₂クロスオーバー試験RCT終末期医療呼吸器内科 在宅酸素療法の適応と効果 「在宅呼吸ケア白書2010」によると、在宅酸素療法(home oxygen therapy:HOT)導入の原因疾患において肺癌は全体の6%と、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(45%)、肺線維症・間質性肺炎・塵肺・膠原病・農夫肺(18%)、肺結核後遺症(12%)についで多い疾患となっている。 肺癌患者にHOTを導入する理由の多くは、原疾患の進行に伴う低酸素血症および呼吸困難の出現である。低酸素血症は、病巣増大に伴う気道閉塞や無気肺、癌性リンパ管症、癌性胸膜炎による胸水貯留、また併存するCOPDや肺炎によるものなど様々な理由で生じ、肺癌終末期にはよくある病態のひとつである。 📋 HOT保険適用基準(高度慢性呼吸不全) 酸素療法を導入する目安としては、HOTの保険適用基準に則り、動脈血酸素分圧(PaO₂)55 Torr以下の者、および60 Torr以下で睡眠時あるいは運動負荷時に著しい低酸素
4月30日読了時間: 3分


在宅酸素療法を科学する24~肺線維症・間質性肺炎
間質性肺炎肺線維症IPFINSIP特発性間質性肺炎長期酸素療法LTOTUIPパターン蜂巣肺HRCT呼吸器内科難治性疾患低酸素血症IIPs 1 間質性肺炎とは 間質性肺炎は、病理学的に肺胞隔壁など肺の間質を中心に炎症・線維化を認める疾患である。胸部X線や胸部CTなどの画像検査では両側肺にびまん性陰影を認めることが多い。 間質性肺炎の原因は多岐にわたり、塵肺・過敏性肺臓炎などの異物吸入が原因となる場合や、膠原病・サルコイドーシスなどの全身疾患の一病型として発症することもある。また薬剤が原因となる場合もある。 2 特発性間質性肺炎(IIPs)の分類 特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias:IIPs)は、間質性肺炎の中で原因が特定できないものの総称である。画像(特に胸部高分解能CT)所見と病理所見から、6つの主要間質性肺炎と2つの稀少間質性肺炎に分類される。 ● 特発性間質性肺炎(IIPs)の改訂国際分類 なお、IIPsは国の指定難病である。主要IIPsは臨床経過・発症要因から慢性線維性・喫煙関連・急性亜急
4月29日読了時間: 3分


在宅酸素療法を科学する23~肺MAC症とは?原因・症状・経過と在宅医療の視点
在宅医療肺MAC症NTM症非結核性抗酸菌在宅酸素療法(LTOT)呼吸器疾患逗子市さくら在宅クリニック 肺MAC症とは? 肺MAC症(Mycobacterium avium complex 肺症)は、肺非結核性抗酸菌(NTM)症の中で最も多い疾患です。NTM症は結核菌とは異なる抗酸菌による感染症で、ヒトからヒトへの伝染性はなく、土壌や水中に存在する菌を吸入することで発症すると考えられています。 正確な疫学データは存在しませんが、わが国での推定罹患率は1971年の10万対0.9から増加を続け、2011年の調査では10万対5.7に達しています。死亡統計では2005年のNTM症死亡数は832人(人口10万当たり死亡率33)と報告されており、有病率は10万対33〜65と推定されています。 近年の増加は主にMAC症の増加によるものであり、特に先進国を中心に中高年女性の結節・気管支拡張型が増えています。 肺結核との違い 肺結核とNTM症はどちらも肺に小粒状影や空洞を呈するため、画像上で鑑別が必要な疾患です。しかし、臨床的な特徴や自然経過は大きく異なります。 肺
4月28日読了時間: 3分
bottom of page